「ストレス耐性」 – オンとオフ –

 人財コンサルティング時代、幹部人財育成やコンピテンシー・マネジメントのプロジェクトが数多くありました。トップ・マネジメントの持つべきコンピテンシーは、リーダーシップ、判断力、論理的思考能力などなど、様々なものがあります。企業や業種によって、また定義の粒度によって若干の相違はあるものの、必要とされる基本的なコンピテンシーは大体似ています。

 定義されたコンピテンシーはグループ化され、優先順位や重み付けが設定されます。その中で、必ず上位にくるのが「ストレス耐性」でした。従業員に責任を持ち、企業価値を向上させ、株主に対して説明責任を負うという大変なプレッシャーの下に置かれるトップ・マネジメントは、やはり肉体的にも精神的にも強くなくてはなりません。

 とは言っても、トップ・マネジメントも人の子。所詮、人間です。外見上の表情とは裏腹に、心の中のダメージは小さくありません。実際ストレスが大きいあまり、心のバランスを崩してしまうマネジメントも少なくありません。ストレス環境下に強い、「ストレス耐性」とは何でしょうか?大きく二つあると考えます。

 まずは達成意欲。達成すべき目標に対して強い志向性を持っていると、ストレスを感じません。ストレスは確実に存在するのですが、その志向性がストレスを上回っている場合です。普通の人がそのストレスを受けると耐えられないようなものでも、気にならなくなります。また、ストレスがあっても、そのストレスをバネに、達成のための次のアクションに転化してしまう裏技を達成意欲は持っています。

 
 二つ目に考えられるのが、「オンとオフの切り替え」の上手さです。重要な意思決定を下す時、また、回避困難な課題がある時など、床に入ってもなかなか寝付かれず、仕事のことが頭から離れない。もちろん朝起きても、直ぐに頭に浮かぶのは、その課題であるなど、誰しも経験があると思います。100%忘れることは無理かもしれませんが、「ストレス耐性」の強い人は、気持ちの切り替えが上手です。ずっとオン状態では、機械と同じように消耗が激しくなります。素早い切り替えも重要で、忙しいトップ・マネジメントは時間がありません。5分でも熟睡、家族との談笑、スポーツクラブでの汗流し、銀座のクラブで馬鹿話、オフへの切り替えも見事です。

 これは「オフの質」と呼んでいますが、いくら時間があっても、オン状態の半分を引きずっていたり、オフの時間が十分にあっても、毎週日曜日にごろ寝しているだけでは、睡眠と同じで、質を伴わないオフは価値が小さくなります。

 ストレスは加算的。質の高いオフを上手に取って、オンの時間も充実させましょう!!