「口コミの威力」 – ソーシャルネットワークのパワー –

 3月11日の大地震、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

 強烈な地震でした。私自身は、会社のオフィスでミーティング中でした。揺れでホワイトボードに文字を書くことができず、「これはダメだ」とミーティングを諦めて、同僚と揺れが収まるのを待ちました。ほとんどの人が同じような経験をされたと思いますが、携帯電話の通話は直ぐに通じなくなり、携帯メールも不安定で、届くまで2-3時間の時差がありました。

 一方、インターネットは問題なく稼動しており、非常に安定していました。Webと言われるように、くもの巣状に張り巡らされたインターネットは、一部の回線が不通でも影響を受けません。ニュースも素早く配信されるので、刻一刻変わる状況がわかります。

 電子メールは、コミュニケーション手段として、欠かせない生活の一部となりましたが、今回さらにそのパワーを感じさせたのがソーシャルネットワークです。メールはある意味、クローズな世界ですが、ソーシャルネットワークはコミュニティにおける情報共有。状況がどんどん変わる中、パブリックではないが、コミュニティという限定された社会の中でコミュニケーションが成立し、情報が波及していくスピードに驚かされました。

 こちら側が積極的に進めているわけではないにもかかわらず、週に何通かは届くFacebook等の「お友達リクエスト」、コミュニティ自身もどんどん増殖していきます。

 ウィキリークスは内部情報を暴露し、政府を震撼させました。それがソーシャルネットワークでさらに広がって、チュニジアを始めとする革命活動に繋がっていきました。

 最近の飲食店、口コミの評判を見る人が増えています。私も内視鏡検査を受けようと、病院の予約を昨日行いましたが、名医口コミ、参考になりました。六本木の有名な牛たんのレストラン、口コミを見て、直ぐに別の店を探すことにしました。このように情報は、人々の行動に影響を与えていきます。もうこのパワーは無視できない流れです。

 今後は、この情報の精度、信憑性をどのように担保していくかが重要なテーマになってくると思います。デマもあれば、自分で風評を流す人も出てきます。インターネット出現前から問われてきた「メディア」の存在意義と、公共性、社会性、報道の自由、プライバシー問題、画一の答えがないところをみると、今後も課題は残るでしょう。

 P.S. 大流行のFacebook、振り返れば2007年にカリフォルニアでは、話題を呼んでいました。あるカンファレンス会場で、テーマは「コラボレーション」で、「Facebookをやっている人?」という質問に対して、会場で手をあげた人は2割ぐらいだったでしょうか。やはりシリコンバレーは3年進んでいます。
カスタマイズしたクーポン券の配布サービス、「このビジネスを日本でやって欲しい」と言われたのも3年前でした。

「民の叡智の活用」 – 機能する政治と行政 –

 JR のぞみに乗って、大阪へ演奏に行きました。演奏は単なるジャムセッションでしたが、のぞみの車内誌に気になる記事が載っていました。

「奈良県 生駒市 副市長を公募」

 「少子高齢化、経済の低迷、国の財政の悪化など、地方自治体を取り巻く環境は厳しさを増していくなかで、持続可能な自治体経営を続けるためには、様々な行政改革をさらに進める必要性があります。」と説明され、「勇気を持って挑戦を続けることのできるコーチ=副市長」副市長をコーチと位置づけています。

 他にも事例があったことが記憶の片隅にあったので、少し調べてみると、佐賀県が最高情報統括監(CIO)を公募したことや、富山県や岐阜市もCIO補佐官を募集していました。

 今日の新聞に、菅政権の支持率が22%と発足以来最低であるとの記事が載っていました。既に国民の期待値は無いと思われるので、衝撃はないでしょうが、このまま日本という国はどこへ行ってしまうのだろうと不安を覚えます。派閥争いや次の選挙と地元の利権だけを考えている政治家は、既にプロフェッショナルではありません。政治のプロでない人達に政治を任せなければならない国民は不幸だと思います。

 私は、民主政治を補完するものとして、政治と行政のアウトソーシングを主張してきましたが、プロフェッショナルに任せるべきです。政治家を100%アウトソーシングしては民主主義ではなくなってしまうので、政治機能の一部でも良いと思うが、それこそ国民が信じたマニュフェストや財務指標、国際競争力等をKPIに、民間にアウトソーシングすべきです。派閥争い等は視野から外れていくような工夫も必要です。

 行政も、諸葛亮孔明がやったように、公務員を半減させても間違いなく日本の行政は機能します。あまりに無駄が多い。

 米国ジョージア州サンディスプリングス市のように、10万人都市でさえアウトソーシングを活用し、一人の市長、4人の職員、6人の議員で運営できています。もっともこれは、公務員を採用していく時間的余裕がなかったことからできあがった体制ではあるが。

 認定制度をつくり、利権が絡まないプロフェッショナルといえる政治家に政治そのものをアウトソーシングする、もしくは現在の政治家を、利権や私欲と切り離す工夫と共に再教育する。ここに書くように簡単ではないが、変革を実施しない限り、このままでは滅び行く国である。

 民間の叡智を活用し、必ずしも公務員でなくて良い仕事は、アウトソーシングを最大限活用していく。問題も発生しますが、生産性が向上し、客観性が高まり、財政にも寄与する可能性があります。