久しぶりに米国へ出張しました。空港レンタカーの受付でGMの車を頼んだのですが、私の予約していたところでは空きが無いらしく、借りることができませんでした。
2008年の6月1日に連邦破産法第11条を適用し経営破綻したとはいえ、置いていないとは思えないので、たまたま出払っていただけだと思いますが、レンタカー・ビジネスに積極的に車を提供しないのは正しい戦略。大量に販売できる反面、利益は薄く、中古自動車も大量に市場へ出回るので、再販価値は下がり、時にはブランド価値も損なってしまいます。どの自動車メーカーも販売台数の確保と薄利とのジレンマに悩んできたのがレンタカー・ビジネスです。
レンタカー・ビジネス参入への是非はともかく、GM長年の放漫経営は多くの国民と従業員にとんでもない迷惑をかけました。資本主義の崩壊であります。なぜなら、良いものが生き残る世界に背中を向け、政府の支援を得続けたからです。「GM = 米国の象徴」という構図による、政府への甘えは、エクセレント・カンパニーを準国有企業に変えてしまい、とうとう破産に追いやりました。オバマ政権は、経営に口出ししないとコメントしているものの、今後確実に関与してくると思われます。なぜなら、これから5兆円もGMに投入しようとしていますし、再建も容易ではないからです。
ここまで政府が関与してきた理由は何でしょう?もちろん「雇用問題」です。「米国の象徴」が多くの失業者を出すことを懼れたからです。ずるずると放漫経営を許し、中途半端な意思決定を繰り返して最悪の結果をもたらしました。これは明らかに間違ったプロセスだったのです。
私の主張は、2006年あたりの経営不安が囁かれ始めた当初から一貫しています。市場経済の判断に任せ、一度倒産させるべきであるという考え方です。雇用問題はどうするのか?という問いは、残りますが、基本的に政府がいくら支援しても本業が成り立たなければ結果は同じ。公的資金を馬鹿な経営陣に渡し、放漫経営と高額の幹部用退職金に回すくらいであれば、その資金を従業員に支援金として配布すればいいのです。もし無駄遣い?せず、従業員に配っていれば、単純に割り算しても一人当たり1500万円以上もの支援ができたはずです。メリハリをつけ、貢献度に応じた支援をすれば、より効果的だったでしょう。再就職のためのスキル向上、失業中の生活費補填など、生きたお金になっていたはずです。
人財はもちろん、金銭的な財も遣いようです!!