「先送りの弊害」 – 問題先送りのリスク –

 社会保険庁問題、大騒ぎしています。この問題の根っこは、「責任感の欠如」と「問題先送り精神」。

 ビジネスにおいても時々「問題の先送り」をしたがる人がいます。後で結論を出した方が効率の良い意思決定項目は稀で、ほとんどの問題は先送りによって時間を浪費します。

 それどころか、記憶は曖昧になり、余計な仕事が増えていきます。しかも本人は、とりあえずその場は仕事をした気分になっているのでたちが悪いです。

管理者は「あれやってくれた?」と何度も確認しなければなりません。お客様からは、「この問題どうなっている?」と問い合わせが入り、問い合わせを受けた人の仕事を増やし、問題の張本人もリアクティブ(後手)なので、処理解決まで「先送りしなければ済んだ」以上の手間がかかります。

 意思決定とはリスクを伴うもの。リスクがあるので、情報収集や分析、状況の流れを読む力が必要になってきます。最後はカオス状況の予測し難い環境で判断することも多いはずですが、私は、この分析と流れを読む力こそが経験と考えています。脳ミソも、記憶の定着性は若年層の方が良いようですが、30歳を過ぎると、物事のつながりを判断して考えていくことに優位性がでてくるようになります。ITでいえば、システムやデータベースを繋げるネットワークの力が強力になってくる、つまりあちこちに分散した記憶データを寄せ集めて、物事を判断していく能力が飛躍的に高まるそうです。

 ちなみに「歳を取ると記憶力が衰える」というのも、必ずしもそうではなく、関心事の範囲が広くなる分、記憶の定着性が悪くなると言われています。自分が関心のないものに対して脳は「忘却する」というメカニズムを持っていますから、関心の薄いものは記憶に残りません。(脳に伝わった情報を全て精密に記憶してしまうと、さすがの脳も数分でパンクします)人生を左右するテストの合否結果や大切な商談、あるいは大切な人のメッセージ等は忘れないはずです。歳を取ると活動範囲が広くなる分、一つ一つの関心レベルは低くならざるを得ません。これが記憶力が衰える根拠ではないかと考えています。幼少の時期や若い時期は、見ること、聞くこと全てが新鮮で、視野が狭い分、余計なことを考えずどんどん吸収していきます。

 話を戻します。要は、得た情報を元にして判断する力は経験のなせる業ですから、問題が発生したら、それに対する解決努力を先送りせず、できるだけ早く意思決定していくことが「仕事のできる人」なのです。

 組織の中に問題先送り人間がいると、まわりの人の生産性をも低下させます。皆さん十分に注意しましょう。

 P.S. 恐慌のおそれがあると言われているサブプライムローンの問題。これも一種の問題先送りです。低所得者層をターゲットにしていたローンなので、そのリスクは昔からわかっていたはず。しかし最近そのリスクに火がついたのは、金利上昇の先送り問題がいよいよやって来たことが原因です。
 そういえば、日本にも「ゆとりローン」という金利上昇を先送りにしたローンがありました。これは低所得者層ターゲットではなかったと思いますので大丈夫かと?!。生活面でも「先送りのリスク」を認識しなければなりませんね。