「民の叡智の活用」 – 機能する政治と行政 –

 JR のぞみに乗って、大阪へ演奏に行きました。演奏は単なるジャムセッションでしたが、のぞみの車内誌に気になる記事が載っていました。

「奈良県 生駒市 副市長を公募」

 「少子高齢化、経済の低迷、国の財政の悪化など、地方自治体を取り巻く環境は厳しさを増していくなかで、持続可能な自治体経営を続けるためには、様々な行政改革をさらに進める必要性があります。」と説明され、「勇気を持って挑戦を続けることのできるコーチ=副市長」副市長をコーチと位置づけています。

 他にも事例があったことが記憶の片隅にあったので、少し調べてみると、佐賀県が最高情報統括監(CIO)を公募したことや、富山県や岐阜市もCIO補佐官を募集していました。

 今日の新聞に、菅政権の支持率が22%と発足以来最低であるとの記事が載っていました。既に国民の期待値は無いと思われるので、衝撃はないでしょうが、このまま日本という国はどこへ行ってしまうのだろうと不安を覚えます。派閥争いや次の選挙と地元の利権だけを考えている政治家は、既にプロフェッショナルではありません。政治のプロでない人達に政治を任せなければならない国民は不幸だと思います。

 私は、民主政治を補完するものとして、政治と行政のアウトソーシングを主張してきましたが、プロフェッショナルに任せるべきです。政治家を100%アウトソーシングしては民主主義ではなくなってしまうので、政治機能の一部でも良いと思うが、それこそ国民が信じたマニュフェストや財務指標、国際競争力等をKPIに、民間にアウトソーシングすべきです。派閥争い等は視野から外れていくような工夫も必要です。

 行政も、諸葛亮孔明がやったように、公務員を半減させても間違いなく日本の行政は機能します。あまりに無駄が多い。

 米国ジョージア州サンディスプリングス市のように、10万人都市でさえアウトソーシングを活用し、一人の市長、4人の職員、6人の議員で運営できています。もっともこれは、公務員を採用していく時間的余裕がなかったことからできあがった体制ではあるが。

 認定制度をつくり、利権が絡まないプロフェッショナルといえる政治家に政治そのものをアウトソーシングする、もしくは現在の政治家を、利権や私欲と切り離す工夫と共に再教育する。ここに書くように簡単ではないが、変革を実施しない限り、このままでは滅び行く国である。

 民間の叡智を活用し、必ずしも公務員でなくて良い仕事は、アウトソーシングを最大限活用していく。問題も発生しますが、生産性が向上し、客観性が高まり、財政にも寄与する可能性があります。

「世界の中の日本」 – 中身の良さと露出 –

 5000人入る会場は満員。ある国際カンファレンス、日本人がキーノート・スピーカーに登場しました。

 国際競争力は衰え、後ろを見ればマレーシアが日本に続き、世界は中国とインドばかりを見ている今日この頃。ネイティブの発音ではないし、帰国子女という感じではありませんが、英語でのプレゼンテーションは光っていました。このような場合、下手でも、とにかく自分の言葉で伝えることが大切です。

 ビデオも製作し、最初は日本の伝統的な美を描いたものでした。京都と思われる背景のなかで、琴の音色と風景が日本の侘び寂びを想わせます。木工細工を組み合わせた襖が紹介され、日本の微細技術をイメージさせます。その後、対照的に半導体などのハイテク技術が紹介されていきます。伝統的な日本の良さと、優れた先進技術をアピールする格好のビデオでした。

 プレゼンテーションの中身は、その企業がヒューマン・セントリックな未来を目指しており、ICTがもっと人々の生活に役立つことを狙っているという内容でした。数名のキーノート・スピーカー・プレゼンターの中で、アジア人はこの日本人だけでしたが、来年は日本人以外のアジア人が大きく増えるんだろうなと感じました。

 会場の5000人の反応は、感動を素直に表して大拍手。国際社会の中でプレゼンスが下がっている日本をアピールしてくれました。

P.S. 
リハーサルは何度も繰り返したそうです。日本でも自社の体育館を借り切り、大道具を200万円で製作して入念な準備をしたとのこと。社内公用語が英語になった会社にびっくりしていてはいけません。良いものを作っているだけでは、グローバル競争からどんどん取り残されていきます。言語に代表されるいくつものハンデキャップは、なんとか準備で乗り越え、その企業が持つ良さをどんどん伝えていかなければなりません。
 自ら伝えない限り、「相手があうんの呼吸でわかってくれる」ことはありません。