「日本の成長と自己実現」 – 労働意欲 –

 日本の労働市場改革が行われようとしている。

 結論からすると、とても良いことだと思う。少子高齢化の打開策、年金対策、日本の経済成長など、諸処の背景があり、「少子高齢化のなかでも高い経済成長を達成するため」と政府は謳っている。私としては、「労働意欲がある人の就労に向けた官民の取り組み」をもっと前面に打ち出せばいいのにという印象だ。経済成長は、健全な成長を求めればいい。永遠に成長し続けるわけがなく、どこの国も成長し続けたら地球が爆発してしまう。

 日本人は真面目で勤勉、まさしくそのとおり。その国全体を評価するわけではないが、例えばタイの空港に降り立った瞬間、easy livingの空気が流れていると感じるのは私だけだろうか。日本人はそもそも働くのが好き、集団的指導者に対しても従順である(指導されるのが好き?集団的魔法・暗示にかかりやすい?)。世界大戦時の全体主義やナチズムは心理学者フロムの『自由からの逃走』にあるように、完全な自由に人々は耐えられず、支配されることを望んだ結果から、上記のような指導体制が生まれたという考え方は正しいかもしれない。日本もドイツも生真面目な国民性である。個々人の考え方を重視する環境や、生真面目さが染み付いていない国では、集団で近視眼的な行動は発生しにくいと思う。

 何がいいたいかというと、この労働政策は、他の国と比較して機能しやすいということだ。

 今回の評価すべき点は、就労率の数値目標を設定した点である。しかも政府はその目標値を、年齢や性別カテゴリー毎の就労意欲を元に設定している。ボトムアップの数値なので、定期的に見直しが必要であるが、トップダウンの数字より国民のことを考えているニュアンスがあり、なんとなく嬉しい。

 「人口減少下でも働く意欲のある国民を支援すれば、成長基盤を保つことができる」という仮説。それに対して、「第一に真面目で勤勉な国民性」、「第二に就労意欲をベースにした目標値」の二点は、有効な検証項目である。おまけに第三の要素として日本は長寿国で高齢者が元気である。アメリカにたどり着いて、飛行機を降りるとき、日本と違うのは圧倒的な車椅子待ちうけの数だ。

 したがってこの政策は機能するというのが私の見解である。

 問題だなあと思うのは、若年層の数値。現在の数値は男女共に90%を下回っており、目標値も100%に近い数値ではない。男性では7%、女性では10%以上、就労意欲がないというのは心配である。若年層の労働力はどこにおいても必要とされているからほぼ自発的失業であろう。
 一方、高齢者の設定目標値は、12-3%現在より引き上げられており、働きたい人がいかに多いかを示している。米国のコンサルタントが話していた。
– 「ADPと2日前にミーティングをしたが、70歳の現役、80歳の現役がいて、元気に働いていて驚いた。」
 ADPとは米アウトソーシング企業の大手である。

 刺激がないと脳みそは成長をぱったり止めてしまう。脳細胞どおしを繋ぐシナプスは増えない。ネズミを例にとると、遊び場のある檻から、遊び場の無い檻に移されたネズミの脳みそは急速に衰えるという。定年後ガックリという例は、これに近いのであろう。ちなみに、人間の脳は疲れない。一生過激に使っても脳細胞からはお釣りがくる(1秒間に1個ぐらいのペースで脳細胞は死滅していきますが)。歳をとれば、記憶力が落ちるというのも脳医学的にはウソらしい。変化のない生活をしていたり、刺激が無さ過ぎたり、睡眠が十分に取れないと、記憶するための脳作用が落ちていくことが原因らしい。