「仕事の共同体」 – 仕事のコンテナー –

 仕事とのめぐり合い、色々な形があります。皆さんはどのように現在の仕事に就きましたか?

 いつも思うのが、会社は電車に似ているということ。そう、仕事のコンテナーなのです。

 電車は線路の上を走るので、方向性は決まっているが、時々路線がスイッチされます。各駅停車もあれば、新幹線のような超特急もあります。そう言えば、国家公務員のエリートコースを「超特急」と言いますね。この路線、コンピューター制御の発達で、発車後に路線を変えたり、運行時刻を変えたり、予定を組み替えたりできるようです。頻繁に変えるのは限界があると思いますが、企業方針を変更するのと同じですね。公的資金を受けることなどは「緊急停止」です。本業を取り違え、脱線する企業も多いこと。乗客を詰め込みすぎ、満員電車もしくは予定していた乗客より多くの人が乗っているときは、強制的に下車してもらうこともあるでしょう。不正を行ったときの退場もしかりです。

 日本は正確な列車の運行で有名。時刻どおり運行できる国は、社会が安定しており、信用度の高い国。比較的運行が安定している韓国ですら、5分以内は遅延と見做さないと公表しています。遅延は20分以上という国もある中で、新幹線の正確さは驚異です。1分以上であれば大クレームとなります。日本人の仕事の仕方が顕れています。

 一方、社員は、一度乗車したらそのまま一生同じ電車で過ごす人もいれば、何度も乗りかえる人もいます。電車を会社と考えると、色々な人が乗り込んできます。ずっと乗っている人もいれば、すぐに降りてしまう人もいます。車両を移ることは、企業内での異動となり、同じ電車であっても新たな刺激とチャレンジが加わります。

 同じ車両に乗り合わせた人は、仕事の仲間。電車の正常な運行に対して責任を持つ共同体です。共同体の中は、通常グループ分けされその役割も分担されています。グループには管理職というリーダーが存在し、グループの運営を任されています。運転手は舵取りをする執行役社長で、車掌は取締役会といったところでしょうか。共同体においては、仲の良い人もいればあまり良くない関係もありますが、時に社内(車内)恋愛や結婚があったりします。「電車男」は、掲示板が爆発し、ドラマ化されてしまいました。

 いずれにしても電車は、「仕事のコンテナー」だなあと思います。魅力的な仕事と報酬で人財を集め、長期的に、きっちりした方向性で運行している電車がエクセレント・カンパニーなのです。

 最近は女性専用車両があって、ややこしい。これはジェンダー差別?

「企業文化と地域」

 米国の牡蛎(かき)に「ウェストコース・オイスター」と「イーストコースト・オイスター」があるのをご存知ですか?

 私は、甘さを感じるウェストコーストの牡蠣の方が好みです。大粒の牡蠣が好きな人は、イーストコーストのものがお勧めです。

 米国西海岸の陽気と、東海岸の生真面目さ。まったく違いますね。日本でいえば、大阪と東京、中国だと北京と上海、ヨーロッパだとイギリスとフランス、さらにはイングランドとアイルランドといった感じです。これは地理的な違いによる文化・風習の違いの一例ですが、私が経験した米国企業はやはり西海岸と東海岸では、企業文化に差があると思われます。

 スタートアップ企業をみても、西海岸では、学生時代からのアイデアが元になったアントレプレナー型の起業が多いのに対して、東海岸では、企業のドロップアウト型による起業が多いという印象を受けます。例外はもちろん存在するので、断定はしませんが、西海岸のずば抜けた陽気さが育む自由さと、人々をエンパワーし、とにかくチャレンジしてみようという気運は東海岸より勝っている気がします。一方、東海岸の企業は、統制がきっちり成されていて、統制型の企業文化が根付いています。

 さて、企業文化とは何か?

– 既存の価値観や伝統に基づく企業独自の性質や精神
– 社員の考え方や行動習慣の根本となるもの
– 企業文化とは、企業内の人間が共有する価値観、信条

など、色々な定義がありますが、私の定義は、「戦略を長期的に補完する社員の行動規範と価値観、職場の雰囲気」としたいと思います。

 以前、「楽しくやろう!」と声高に叫ぶ管理職がいました。飲み会もあれば、イベントもあるのですが、職場はまったく楽しくありません。この原因はよくわかりませんが、多くの人が「楽しくない」と言っていました。この管理職の行動を分析すると、とても官僚的、人の言うことを聞かず押し付けの価値観と命令が多かったと思います。多くのアイデアがある人々、積極的に提案をしていく人達を無言のうちに減らしていったのです。職場の雰囲気は、とりあえず言われたことをやるモードで、アイデアよりルールが最優先の職場は、アイデアパーソンを腐らせていきます。社員の行動を全てマニュアルに記載して、管理していくことは不可能です。接客技術の高いノードストロームやリッツカールトンの従業員がとった有名な行動は、マニュアルに記載されていたわけではありません。ルールになくても、基本となる信条に基づく行動が許される雰囲気が普段からないと、気持ちが萎縮してしまって行動に至りません。

 この企業文化、地域は関係あるのでしょうか?最近、自分のキャリア変更のタイミングで多くの企業幹部と会話しました。あくまでも私が接した印象ですが、やはり西海岸の企業の方が柔軟でした。いくつかの質問、提案、リクエストに対する反応があきらかに西海岸企業の方は融通が利きます。「Yes」ばかりではありませんが、一旦は検討してくれます。シリコンバレーのGoogle、Yahoo、Amazon新しいビジネスモデルは、やはり西海岸から生まれています。

 多くの異論があると思いますが、今日のところは西海岸に1票です!!