「まだ若いから」というフレーズを安易に使ってはいけないと自戒した。
ここで紹介するプロは杉本敬三さんというシェフである。若干27歳の若手シェフであるが、熱狂的なファンが多いので紹介するまでも無いかもしれない。フランスに修行にでて早8年とのこと。熱狂的ファンは彼の料理をフランスに食べに行き、勤めているレストランが変われば、追いかけるといった具合だ。
基本的にはフランスの1つ星レストランに勤める杉本氏であるが、年に1度?日本に戻ってきて、出張料理を実施する。出張料理とは、日本で旅館やレストランを一時的に借りて、料理を振舞うイベントである。
私はたまたま友人Iさんのご招待で、ご婦人が参加できなくなった空き枠でご馳走になった。
– 「素晴らしい!!」の一言である。見た目も味も。
私が良い店に出会えていないのかもしれないが、「これまでのフランス料理は全てニセモノか?」と思うぐらいの逸品であった。それぞれの料理に独自の工夫がなされており、創造性が料理に化けたと表現してもおかしくない。プロの文豪や画家が恐ろしく早いスピードで作品を仕上げていくように、彼の包丁や料理器具の扱いは電光石火のごときである。
本人の才能と人柄がなせる業だが、応援の人達も一流である。出張料理が開催されたレストランは、普通のビストロ・レストランといった感じのお店だったが、ソムリエもサービスの人達も、銀座や赤坂などの一流店から応援に駆けつけている。このシェフの料理に合わせたワインが振舞われ、サービスのタイミングも完璧である。
隣に座った方も、プロの音楽プロデューサーの方で、料理に目がない方だった。やはり
– 「昨年フランスで食べた彼の料理は….」なんて話している。
ホームページがあるので、見ていただければわかるように、写真だけでも芸術のような美しさがある。
http://plaza.rakuten.co.jp/keizo/
TVで紹介された彼は、やはりフランスのセレブの自宅で出張料理を作る姿であった。フランス語も上手く、ワインもかなり詳しい。ブラインドでの試飲においても、時には本物のソムリエより的中率が高い。
短い会話の中でも感じられるのは「ひたむきさ!」。とにかく純粋で一生懸命。この姿勢は、本来の素直さに加えて、目標を明確に持っていることや、プロフェッショナル意識から来るものだ。
20歳そこそこで認められ、大きな仕事を任されていった背景には、この「ひたむきさ!」があった。眠っていなくても、どんなに疲れていても、床磨きすら手を抜かない。朝早くから雑巾で、ひたむきに床を一生懸命磨いている姿をみて、将来の光を彼の背中に感じたのであろう。
次のメッセージは彼からの引用である。
– 「忙しい時は、時間を忘れ、何かに集中して、普段では出せない120%の力になる。こういう忙しさの中で、働くことの出来る幸せは、なかなかありませんね。」
みなさん、忙しいとき、どのように感じていますか?