「メール文化の弊害」 – ユビキタス時代の仕事のあり方1 –

 電子メールがないと仕事にならない。事実そういう世の中になってきました。ただし電子メール依存は要注意。

 ユビキタス時代とはいえ、今回は電子メールの弊害を3つあげてみます。

(顔の見えないコミュニケーション)
肉声や表情がないリスクは大きい。これは簡単にご理解いただけると思う。私も経験があるが、自分の意図とは裏腹に、相手の心証を傷つけてしまうことがある。「メールはきつい!」と思ったことはないだろうか。感情が伝わらない、もしくは真意が誤解されて伝わってしまう。

顔の見えないコミュニケーションは危険である。笑いながら怒ることってよくあるし、心から怒っていても、メールでは無視されるケースもある。反対に、メール上での喧嘩を稀に見かけるが、救いようが無い。

(生産性の悪化)
 電子メールを活用しないと、現代社会での生産性は低くなってしまう。したがって利用は当たり前。ここからの話は相対的なものと考えてもらう必要があるが、処理の仕方によっては必ずしも生産性があがらなくなる。

例えば、会社の中でメールをリアルタイム処理している人いませんか?

所詮お手紙なので、リアルタイム処理には向かない。ポストの前で郵便配達の人を待っているようなものである。メールを出したら瞬間的に返ってきて、ほとんどオンライン状態。郵便配達であれば、基本1日1回であるが、電子メールの配信サーバーは疲れを知らない。ポンポン到着する度に反応していては、仕事に集中できていない証拠である。

「ながら族」としての仕事の仕方もあるが、量も多く、質の高い仕事は、やはり「集中」である。電子メールを処理していれば仕事をした気になる人がいるが、それは真ではない。付加価値を大きく生み出す仕事は、一部の職種を除いてメール処理以外の仕事にある。時間帯を決めて、集中処理がベスト。

 ちなみに仕事中にチャットを使っている社員は、最悪。会社でログを取っているところもあるようだが、ほとんどが業務に関係のない内容という結果が出ている。海外の人間と、技術情報の交換などを除いては、遊んでいるだけである。パソコンに向っているからといって、仕事熱心と思ってはいけない。

 目的志向の国なのか、中国でのチャット利用率は80%以上らしい。米国では17-18%、日本は比較的低く14%ということで、そんなに高くはないが。

(私生活への進入)
 携帯電話を持たないと不安だという人が増えているが、電子メールを見ないと落ち着かない世の中になってきた。非常にオンとオフが切り分けしにくくなった。「携帯電話とメールの届かない南の島へ行きたい。」という言葉は現実のものとなった。

 最近はセキュリティの関係で、社外にパソコンを持ち出せない会社が増えてきたが、それはそれで不便である。

P.S. 機内コンセントのヒント
 ビジネスパーソンにとって、移動中は貴重な仕事時間でもある。最近では新幹線にもコンセントがあるし、飛行機にも設置されていて便利だ。

 ところが、電源容量が足りないせいか、コンセントから供給されないケースが少なくない。電源が入らないか、バッテリーでの稼動となってしまう。隣の外国人ビジネスマンが、「バッテリーを外さないとダメ」と言っていたが、そのときは理由がわからなかった。この前、航空会社の方に聞いたところ、バッテリーを装着したまま利用すると必要な電気量が多いらしく、飛行機の電源供給量では十分ではないらしい。

 試しに外してみたら、非常に快適。まったく問題なく長時間利用できた。ちなみに英文機内誌の隅っこの方には、説明文が書かれているらしく、ほとんどの日本人は気づいていないらしい。これでは、当たり前ですねえ。