「デジタルとアナログ2」 – デジタルの進化とアナログの良さ(2) –

 「デジタル化の波」 というほど人財マネジメントの世界は押し寄せていないものの、やはり徐々にデジタル化は進んでいます。

 まずは、オペレーション的な業務。人事異動、労務管理、目標管理、報酬管理などなど。1000人を超える企業では、デジタル化されていないと事務作業が大変です。さすがに給与計算や社会保険業務は自社でデジタル化されていない場合、アウトソーシングしていると思いますが、一部の手作業処理が残っているだけでも「やっていられない仕事!」だと思います。また外資系企業のように、ライン長が人事プロセスを処理する場合は、セルフサービス機能がラインにもスタッフにも提供されていないと、とんでもないペーパーワークが発生しますね。

 一旦覚えてしまえば、デジタル化は便利。コピー機能やレポート機能を駆使すれば、生産性は10倍以上だと思います。逆に、使いこなせなければ、生産性を落とし、事務作業ばかりで一日を終え、大切な仕事が回らなくなります。

 戦略的な人財マネジメント分野でのデジタル化。これがどの程度役立つかについては、意見が分かれると思います。

 もちろん、ツールとして割り切れば、あるに越したことはありません。例えば、タレント・マネジメント。一般に「9ボックス」と呼ばれるタレント図も自動的に分類されると、非常に便利です。シミュレーションもできて、視覚化されるので、特に組織内における相対的な人財マネジメントには威力を発揮すると思われます。

 日ごろ、素晴らしいと思っていた人も、デジタル化してデータで判断すると、「なんだこの辺か」という現実に気づいたり、伏兵というか、意外と高いポテンシャルを持っている若者が登場したりします。意外性があるということは、データによって気づきがあったことの証明です。

 意外性がない部分は、9ボックスの1から3のあたり、つまりローパフォーマーのゾーン。このゾーンは、日ごろより問題があると感じる人が、しっかりそのゾーンに納まっています。他の人の意見を聞いても、ここはブレません。つまり、それだけマネジメントからのアテンションも高く、適切な判断が下されていた可能性が高いといえます。「ITは気づき」のツールというのが私の持論。管理対象が多ければ多いほど、マネジメントとしてのアテンションは分散します。その時、その拡散したアテンションに対して警告してくれる機能は、やはり助かります。気づかずに、有為の人財を見過ごしてはいけません。

 自分の判断を入れず、デジタル情報だけで判断すると、人財マネジメントはとんでもないことになりますし、マネジメントの重要な任務を放棄していることになります。しかし、公平性と生産性の観点では、デジタル化の進展は望ましい方向です。

 タレント・マネジメントだけではなく、人件費のシミュレーションやコンピテンシー管理と連動した人財開発、業績管理と人財配置シミュレーションなど、デジタル化が効果を発揮する人財マネジメント領域は広がっています。デジタル・デバイドによって、取り残されないようにしましょう。

「デジタルとアナログ1」 – デジタルの進化とアナログの良さ(1) –

 ネットワーク・プレーヤーを購入しました。

 まだセットアップ中ですが、音楽の世界も進化が凄いと感じました。流れる音は、透明そのもの。高級オーディオや高価な携帯電話は、要所に金を使ったり、色々な贅を尽くしていますが、ノイズの大元は機械的な動きから発生します。

 例えばCDプレーヤーの回転、大きく雑音を発生させます。音源ソースは光学的に読み取るので、読み取れなかった部分はレーザービームを左右に動かしながら読み直したりします。補正できなかった部分はノイズになります。こういった機械的な部分をできる限り排除したものがネットワーク・プレーヤーです。このネットワーク・プレーヤー、機械的な装置部分が少ない分、圧倒的に故障も発生しないとお店の人が言っていました。なんと音源コンテンツはNAS(Network Attached Storage)、ネットワーク上のファイル・サーバーで巨大な音楽の倉庫となります。

 音源をNASに格納するためのRippingという作業は、色々な圧縮方式でファイルを変換していきますが、何百ものCDを変換する作業の生産性を考え、有償のRippingソフトウェアを購入しました。(26$) CDの曲情報やジャケットはメタ・データとしてインターネット上から自動取得してくれます。もちろん、曲のインデックス付けや検索もライブラリー化されるので手間無し。昔、ジャズ喫茶のマスターがタイプライターでインデックスを作成し、別のノートに曲単位で整理したのを見たときは感動しましたが、デジタル化の技は一瞬にしてこれを実現します。

 ルーター経由でネットワーク・プレーヤーがサーバーとなり、ネットワーク・ドメインを形成し、操作はWi-Fiを用いたi-padとなると、これは一大情報システムです。

 音楽の世界は、超アナログでした。レコード・プレーヤーはビニール盤に刻み込まれたデコボコを擦って音を出していたし、私が遊ぶギターにしても音合わせのチューニングはある意味いい加減。これはプロでも同じです。部屋の温度が上がれば弦は伸びるし、寒い外を持ち歩いてきたら、弦は縮んで高い音になります。湿気でボディは影響を受け、鳴り方が変わってきます。デジタル・チューナーで合わせても、弾いているときはぴったりの音程は存在しません。指のタッチや弦の弾き方で微妙に音程やトーンは変化しているのです。ピアノもコンサートホールによって、響き方がまったく違います。

 人財マネジメントにもデジタル化の波が押し寄せています。続きは次回。